オープンvs.クローズド - デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム
DXP(デジタル・エクスペリエンス・プラットフォーム)には、オープンなものとクローズドなものがありますが、どちらを選ぶべきでしょうか。
Tom Wentworth氏がブログでオープンを推しています。
DXPは、Webコンテンツ管理(CMS)に加えて、コマース・アプリケーション、Webサイトのパーソナライゼーション、キャンペーン管理ツール、CRM、デジタル資産管理などのコンポーネントを加えたものです。
クローズドなDXPは、通常、提供企業1社がこれらのコンポーネントを束ねて(必要なものはオプションとして選択できるような形で)提供してくれます。ですから、アナリティクスはA社、CRMはB社、MAはC社などとバラバラなコンポーネントを組みわせて使う場合の痛みをマーケターが感じる必要はありませんし、インテグレーションのために高度なスキルを持ったエンジニアの助けを借りる必要もありません。もちろん、その分、高額な初期費用やライセンス料などが必要になるでしょうが、手間は大幅に削減できます。
また、ベンダーが1社ですべてのコンポーネントを持っていなくても、他社の製品などを強く統合して組み合わせてソリューションとして提供してくれる場合もあります。この場合もインテグレーションのエンジニアリング面の心配は少なくなるでしょう。
必要に応じて以前から使っていた別のコンポーネントと統合することも可能な場合がありますが、必ずしも上手くつながるとは限りません。しかも、つながるかどうかは提供業者1社の腕にかかっています。
しかし、オープンなDXPは元々オープンであり、オープンなもの同士をつなごうという努力もオープンにされています。例えば、Drupalコミュニティでは、Drupalをさまざまな有力な製品(Safesforce、Google、Marketo、Adobe、その他)と連携させるためのモジュールが開発され、コミュニティを通じて公開され、コミュニティのメンバーの手で揉まれてブラッシュアップされています。
ブログではさらに、Drupalを中心にすることを念頭に、オープンなDXPの利点が5つ挙げられています。
- 未来に適応することが可能
- ファーストのアプローチであるため、将来登場するツールや今あるツールの進化系とも容易に統合が可能であるはずです。
- その時点での最高の優れたソリューション
今、ある分野のために選んだツールが、将来は陳腐化したり、もっと好ましい競合製品が出てきたとしても、オープンなであれば古いものを捨てて新しいものを組み入れることも容易です。
- 開発のベロシティーが速い
ベロシティーとはアジャイル開発の用語で、簡単に言えば開発速度のことで、オープンなであれば、開発速度向上のための()スタックも、新しいがゆえにクローズドでは導入に時間がかかるだろうけれど、オープンなではすぐに活用できます。
- マイクロサービス・アーキテクチャ
汎用的であるがゆえに使いにくい大規模システムを作る代わりに、狭いユースケース向けに小さく作った機能を必要に応じて組み合わせれば、包括的かつ最も適合性の高いソリューションを獲得することができます。このために採用されるのがマイクロサービス・アーキテクチャであり、オープンなプラットフォームであれば、その上に構築していくことが可能です。
- 適切なコマース用プラットフォームの選択
コマースのプラットフォームを組み込むというニーズは一般化しているのに、コマースのプラットフォーム自体は新旧入り乱れた過渡期に入ってしまっています。ここでもオープンなプラットフォームを選んでおれば、将来への不安を軽くすることができます。
Acquia社は、オープンなDrupalをベースにデジタル・エクスペリエンス・プラットフォームを提供しており、オープンなMauticを近頃、買収しています。オープンの本質は、自由度の高さと言えそうです。
<参考情報>