ローカル線のDX
都市を走る鉄道にはさまざまな先端技術が導入されて、安全で正確な運行を支えています。
地方を走るローカル線の場合、秒単位の正確性は求められず、過密なダイヤとも無縁なので、相変わらず券売機では硬券(硬い紙の切符)が売られていたり、無人駅には改札も設置されていなかったりします。
列車の本数も少なくて、単線の区間が長い路線もたくさんあります。また、ICカードで運賃を払えるとは限りません。鉄道会社側も、定期券の販売数、それ以外の運賃収入を手作業で集計している場合が多いのではないでしょうか。
本数が少ないからと言って、踏切では事故が発生します。お年寄りや体の不自由な人がなかなか渡れなかったり、農業用車両などが動けなくなったり。踏切に遮断器があるとは限りません。
線路脇に斜面があれば、大雨などで崩れる恐れがあります。それに備えて傾斜計などを設置し、IoTのデバイスとして集中管理しているケースもあるようです。踏切はAIカメラで監視し、異常があれば警報を発し、安全管理者に緊急通報するシステムがでてきています。
無人駅で夜間などに不審な動きをする人がいないか、場合によっては熊や鹿などが線路設備などに何かしていないかを監視するには赤外線カメラの映像をAIが分析する必要があります。
それでも、ひと昔前のように監視カメラの映像をたんに録画して、事故が発生した後の分析に使うだけだった頃に比べれば、ライブ映像の利用は各段に容易になっています。
複数のカメラ映像を人がずっと見ていて異常に気付いてアクションを取るというのは本当に大変ですが、AIは疲れ知らずに対応してくれます。
また、乗降カウントにも活用が可能です。無人駅にせよ有人駅にせよ、改札口を通る人々を常時カウントするのは大変です。しかし、切符の販売数や定期券だけでは、列車ごとの乗降客数を把握することはできません。
紙の切符をスマホのアプリに変えたり、そのための決済を現金からキャッシュレスに変えたりすると、鉄道会社のオペレーションはずいぶんと省力化できるようです。
生活路線であれば通学定期の需要は新学期に集中します。コロナの頃には行列を作ってもらうわけにもいきませんが、窓口でしか定期券が買えないなら、学生さんたちは並ばざるを得ません。スマホで買えれば、自宅からでも購入できます。鉄道会社としても、現金を受け取って、有効期限などを印字した紙の定期券を手渡すことに比べたら、スマホとキャッシュレス決済で完結する定期券販売は省力化に役立ちます。
観光地を走るローカル線であれば、一日乗車券や、他の遊戯施設などとのセット券を販売していますが、これらもスマホで売ることができれば、売る側の鉄道会社も使う側の乗客もずっと楽になります。
ローカル線でも、AIカメラ利用やスマホ定期券などDXが進展しているようです。
<参考情報>