Drupalのポジショニング

DrupalCon 2016(ニューオリンズ)で、Drupalの生みの親であるDries Buytaert氏が基調講演を行いました。

 

その中で、さまざまなCMSの中におけるDrupalの位置づけが説明されました。横軸に「リーチ」(どれだけ使われているか)、縦軸に「リッチネス」(機能などの豊かさ)をとって、4つの象限に分けています。右上の象限が、「広く使われ」ていて「リッチ」というよい場所ですが、Drupalは、左下(「あまり使われていない」上に「リッチじゃない」)ところから、右上のよい場所に進化してきました。

右下(「使われている」けど「リッチとは言えない」)で、Drupalよりも使われているものには、WordPressや、Squarespaceがあります。SaaS型ウェブサイト・ビルダーというカテゴリーで、使いやすさが評価されて、大きな「リーチ」を獲得してきました。

左上(「リッチ」ではあるが「リーチがない」)の例としては、SitecoreとAdobe Experience Managerが挙げられています。エンタープライズ・マーケティング・スイートというカテゴリーです。コンテンツ管理というよりも、マーケティング・ツールあるいは顧客経験管理システムの領域に入ってしまっていて、分析やパーソナライゼーション、コマースなどの機能が高度化したソリューションで、リッチであるがゆえに導入にはそれなりの高額な予算を必要とします。

 

左上のSitecoreやAdobeは、CX(顧客経験)を重視したもの、左下の領域はDX(開発者経験)に、右下(WordPressなど)はEX(編集者経験)にフォーカスしたものと言うことができますが、水滴あるいは雫(ドロップ)のロゴのDrupalは、これらCX, DX, EXの3つの特徴を兼ね備えたものだと説明されています。

 

これまでの軌跡(左下から右上)から推して、CX(顧客)とEX(編集者)に対して「リッチ」で、かつ、幅広い「リーチ」を獲得する方向に進むことを予感させるキーノート・スピーチでした。