ワイン産業とデジタル

ワインの産地は欧州から北米、さらにオーストラリア、南米と世界中に広がっています。

世界各地のワイナリーは地球温暖化に伴う気候変動などに対処するために、また、生産性や流通効率を向上させて、よりよいワインを届けるためにデジタル技術を活用しているようです。

活躍が目立つのはAI(人工知能)です。ワイン愛好家は少なくありませんが、ワインの目利きとなるとなかなか素人には難しいので、AIがソムリエ役を務めるサービスが生まれています。

また、ワインの場合、トレーサビリティーが重要ですし、高額で売買されるがゆえにラベルの偽造という問題もあるようです。ここではブロックチェーンやNFT(非代替性トークン)の活用が徐々に始まっています。

ワイン蔵

そのほか、愛好家向けにはARなどを活用してそのワインのストーリーをラベルのQRコードを入口にして紹介する例があるそうです。

日本に輸入されるワインのボトルの裏などには産地や特徴、そのワインに合う料理などの情報が小さな文字で記されていることがありますが、どのワイナリーやブランドがどういったものなのかについて詳しい知識のない人にとっては売り場でスマホをかざすだけでさまざまな情報をビジュアルで得ることができれば、ただのラベルしかないワインよりも購買意欲が沸くに違いありません。

ワインの品質を調べるのにもテクノロジーが活用されています。イーノーズ(e-nose)は、エレクトリックの鼻のことで匂いや味を検出して数値化するセンサーです。このセンサーがワインなどの液体の生産と熟成のプロセスを追跡して、最終製品の品質の向上に役立っているようです。熟成プロセスなどの監視には、このほかに近赤外線分光法も使われますが、この分析と評価には機械学習が適用されます。

ワイン

ブドウ畑ではカメラシステム、センサーネットワーク、機械学習モデルを組み合わせて、常に温度、湿度、その他の状態がモニタリングされます。そのほか衛星からの情報で広い農園の水分供給の状況などを把握する取り組みもあります。

ドローンやセンサーを使って害虫や大気中の汚染物質などをいち早く検出したり、先進的な天気予報情報を活用して雹を含むさまざまな気象条件からの被害を抑えたりといった具合に、長年の経験と勘が重視されたワイン産業は今ではハイテク技術なしには成り立たなくなってきているようです。

そのほかにもワイナリーやブドウ農園につきものの重労働をロボットに代行させる動きもあります。

コンピュータビジョン、機械学習、センサーアレイ、バイオメトリクス、リモートセンシング、ロボティクスなどなど、ワイン産業にはデジタル技術の活用が盛んです。

<参考情報>