リーガルテック

米国の法律事務所は単に効率性を高めたりパフォーマンスを上げるためではなく、クライアントにリーチするためのチャネルを多様化するためにテクノロジーの取り込みを始めているようです。

パンデミックの2年でどの国でもリモートでのコミュニケーションが日常化しました。そのため法律事務所は規模の大小によらず、DXを進めることが求められたようなのです。

法律書


法律事務所のいちばんの特徴は、人、つまり弁護士など法律の専門家への依存度がとても高いことでしょう。事務所経営を行うパートナー、クライアントを助ける弁護士、それらを支えるスタッフたちは、長年に渡ってテクノロジーよりも個人の経験や、資料読みや調査に投じる時間と熱意、想像力や論理構成力や説得力など、個人の力量が大きくものを言う世界で仕事をしてきたといいます。
法曹界にはオンラインの文書署名、顧客DB、電子メールくらいは早くから導入されていましたが、パンデミックによってセキュアな文書共有、証言の記録などに適した技術の導入が進んだようです。AIを利用して弁護士に新たな視点や洞察を提供するシステムも開発されています。膨大な文書を読み解いたり、関連性の高い判例を調べるには、弁護士経験を積む必要がありましたが、対象となる文書や資料はあまりにも膨大ですから、AIのサポートが非常に有益であろうことは容易に想像できます。

弁護士が日常的に行っている仕事の何割かは自動化できると言われているようです。文法の誤りは誤記、誤字などのチェック、契約書の項目の過不足の確認など、自然言語処理で読み取って、過去に学習した内容との比較が自動でできるシステムがあれば、作業量を大幅に減らすことができます。AIは単に読み取るだけでなく、利用を続けることで進化します。

クライアントとのコンタクトにおいてもテクノロジーの活用が一般化しました。クライアント側としても気おくれのするリーガル・ファームの応接室や会議室よりも、慣れた空間からリモート会議で相談することを好むのは当然です。また、類似の相談や問い合わせは必ずあるため、チャットボットにも活躍の機会がたくさんあるようです。

権利


もちろん、他の業種でも同じですが、扱う内容の機密性が高いことから、ネットワークを介した会議や文書の共有、その他の細かな連絡事項に至るまで、セキュリティの確保が大前提となります。

このほか請求や支払いのデジタル化、資料保存の際のディジタル化、ビデオ会議の録画による証言収集、時間記録の自動化などなど、弁護士事務所のDXにはさまざまなテクノロジーが活用されています。

また、今後のクライアントはデジタル世代であることから、デジタル技術を活用できる事務所とできない事務所では、その活動の範囲が大きく変化してくる可能性もあります。


<参考情報>