病院とデジタル

病院でのデジタル技術活用にはさまざまな側面があります。まず、最も目につくのはオペレーション管理とサプライチェーン管理でしょう。

薬品


旧来の患者の流れは、電話などで予約をして、その時間に病院に赴き、受付で診察券を提示。予約がなければ、朝から行列を作って、受付してもらってからも待合室で(インフルエンザなどをうつされないか心配しながら)長時間待たされてといったものでした。

COVID-19によって世界的にこうした状況は一変したようです。予約から診察、薬の処方といった比較的落ち着いた患者の流れだけでなく、緊急事態におけるトリアージ、入院、ICU、退院といった場面でも、意思決定支援システムが、別の病棟や、場合によっては別の病院に手配するといった、人間がやる場合には無数の電話連絡が必要となる手配が徐々に自動化されているようです。

他の商業施設と同じように、顧客(=患者)の体験を改善するという視点がなければ、かかりつけ医が固定している国は別として、ソーシャルメディア時代には医療機関であっても経営が苦しくなることは確実です。

医療関係者は医療の専門家で、医療のトレーニングは受けていますが、リソース管理については十分な訓練を受けていません。デジタル化やAIの支援が役に立つ領域です。

病室


病院側の人員配置にもデジタル技術が役立ちます。当番や夜勤、急患の対応、スタッフの急病など、土壇場になっても頻繁に訂正が求められる人員配置は、電話やテキストメッセージ、表計算ソフトに頼っていては、いつまでも終わらない複雑な業務です。看護師さんらのスケジュール管理が透明化、合理化、最適化されれば、離職率の低下にも寄与すると期待されています。

スケジューリングということでは、スタッフだけでなく放射線設備、病室、手術室、その他の施設や設備の利用という場面でもデジタルが合理化してくれます。機械学習により手術や検査に要する時間が正確に予測できるようになれば、利用効率を上げることができます。
医療機器のサプライチェーン管理、在庫管理のデジタル化で運用コストが激減するようです。無駄の排除は利益幅を増やすことに直結します。


<参考情報>
How Digital Transformation Can Improve Hospitals’ Operational Decisions
Why is technology so important in the future of hospitals?
From a buzzword to an imperative for health systems