デジタルマーケティングのトレンド

 デジタルマーケティングはここ数年、ずっとホットなテーマなのですが、AI(人工知能)の発展やコロナ禍の影響などで最近でもさまざまな変化を見せているようです。

マーケティング

 ロックダウンや非接触への強い要求からビジネスショーと呼ばれる展示会の開催が難しくなりました。このためZoomやYouTubeを活用した数多くのオンライン・イベントが世界各国で開催されています。

 当初、多くのオンライン・イベントは、リアルなイベントで行われる講演の様子をスピーカー(説明者)の映像やプレゼンテーション資料をパソコンの画面に表示することで代替するというものでした。

 日本では講演会で質疑応答の時間をとっても、なかなか質問が出ないことがありますが、欧米では必ず質問の手が上がると言ってもよいようです。そうした文化では、Web会議のチャット機能などで講演者や司会者に質問をテキストで投げかけて、採用されたら答えを聞くことができるということでは満足できないようなのです。そのため、オンライン・イベントでは双方向性の確保がとても大事になってきています。

 「Web会議疲れ」は各国でも問題になっているようです。在宅勤務中などに一日に何時間もいくつものWeb会議に参加すると上手に息抜きができず、とても疲れます。そうした疲れたオーディエンスに対して、旧来型のウェビナーのようなレクチャーを押し付けるように配信しても、疲れた聴衆の心には届きません。

 コミュニケーションのためのコンテンツは、ブログから映像に移行しています。映像は短いもの、長いもの、アニメーションやCGによるもの、実写によるもの、ユーモラスなものなど多岐に渡ります。コンテンツ提供側にはエンタメ的な発想やプロデュースの能力が求められるようになってきています。

 仮想イベントなら、世界中のオーディエンスに届けることができ、24時間365日、休まずに配信することができます。双方向性が上がると、見ている側は単なるオーディエンスではなく、ブランドのファンのコミュニティーのような存在になってきます。そうなると、1対Nでブランドから大勢に向けての情報発信だけでなく、N対Nのユーザ同士のやり取りもブランドのデジタルプラットフォームが媒介するようになってきます。マーケターは複数のチャネルでインフルエンサーたちと、ゆる~く繋がって、バズるビデオなどを一緒に作り上げていくというスタイルになってきているらしいのです。実名で仕事に使うSNSと呼ばれることもあるLinkedInでは仕事に関する熱心な議論が行われているようです。

ガジェット

 これからの企業Webサイトの運用チームには、人工知能や機械学習、さらにさまざまな業務の自動化に関する知見が求められます。それにより顧客のデジタル・エクスペリエンスを継続的にテストし、学習して進化させることが可能になるからです。A/Bテストのように、いくつかの代替コンテンツを用意して、反応のよい方を選ぶという方法が、次第に時代遅れになって、もっと予測に基づいたプロアクティブなマーケティング手法にシフトするという意見もあります。

 技術のトレンドがどうなっても、結局は顧客にフォーカスするマーケターがよりよい実装方法を生み出していくことになるはずです。顧客中心という考えは大きく揺らぐことはないのかも知れません。

<参考資料>